アプリ開発費用のジャンル別相場を詳しく紹介!費用想定の注意点も

2022年12月19日

アプリ開発を検討しているものの、必要経費がはっきりせずに頭を抱えている企業は少なくありません。アプリ開発を検討するにあたって開発費用の算出は重要なステップです。費用がどの程度かかるか相場が分かれば、アプリ開発の判断にも有効です。

そこでこの記事ではアプリの開発に必要な要素や開発に必要な費用を詳しく説明します。また、開発費を抑え開発後の運用を効果的にするための開発前に行う企画についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

平均的なアプリ開発の費用相場は?

アプリ完成までに要する費用は平均250万円と言われています。ただし、安価に制作できるアプリは100万円ほどで完成するのに対し、完成までに2,000~2,500万円を必要とする高額なアプリもあります。

開発費用の内訳はアプリの開発に必要となる人件費と固定費、さらにそれらに付随する諸費用から構成されます。そのため、全く同じジャンルであっても「制作期間が異なる」「担当する人員数が違う」「搭載する機能が異なる」などの理由で、開発費が大きく異なります。

アプリ開発費用の把握にはアプリ開発に必要な条件の把握が不可欠です。次章からは、アプリのジャンルごとの費用相場や費用が異なる原因、そのほかに必要な費用の種類についてそれぞれ説明します。

開発するアプリのジャンル別費用の相場

前述したようにアプリ開発費用はアプリの内容によって異なります。

開発するアプリのジャンル別費用の相場を列挙するので、ぜひ参考にしてください。

  • AR系のアプリ:5~100万円以上
  • アプリ内課金/多言語/マップ対応のアプリ:10万~20万円
  • チャットボット系アプリ:50万円~100万円程度
  • カタログ、フリーペーパー系アプリ:50万~100万円
  • カメラや電卓のような機能限定アプリ:100~150万円
  • 通話、メッセージ機能のあるアプリ:100~500万円以上
  • 店舗アプリを始めとした会員アプリ:100~1,000万円以上
  • EC系のアプリ:150~300万円以上
  • エンタメ系タイプのアプリ:300~1,500万円

このように、アプリのジャンルによって必要費用は異なります。比較的作業が容易なものや、設計ノウハウが蓄積されているジャンルのアプリは開発費が安い傾向があります。一方、会員機能を備えるアプリやゲームアプリなど、特殊な機能や多方面の機能を必要とする開発費用は高くなる傾向にあると覚えておきましょう。

なぜジャンル別に費用が異なるのか?

アプリの開発費は「作業単価×開発期間」+「付随費用」で計算できます。

開発費の中で「作業単価×開発期間」にあたる人件費は、開発費の多くを占める費用です。このうち、作業単価とは期間あたりの人件費を指します。つまり、開発を担当する人員が増え、開発期間が長くなるほど開発費は増しします。そして、開発に必要な人員と期間は会社ごとに異なるため、費用に幅が発生するのです。

また、アプリ開発を担当するシステムエンジニアとプログラマーはそれぞれの所属先や技量によって作業単価が異なります。フリーランスのプログラマーの場合は1ヶ月あたりの作業単価が30万円から50万ほど、大手企業に所属するプログラマーの場合は50万円から100万円までの間が相場です。

システムエンジニアもそれぞれの所属や技量によって人件費に差があります。個別機能のシステム設計や開発を行える程度の初級システムエンジニアが月約50万から100万円であるのに対し、専門技術を有し開発プロジェクトを仕切れる上級システムエンジニアは100万~150万円が必要です。

十分なクオリティのゲームアプリやSNSアプリの制作には、上級システムエンジニア数名を数ヶ月以上の投入が必要です。例えば、ゲームアプリであればグラフィック・BGM・ゲームシステムなど、システムエンジニアやプログラマーは外部の別の専門家とも協力して作業を進めなければなりません。

一方、SNSとの連携やアクセス解析といった簡潔な機能であれば高度な技能や人数を必要としないため、開発費も少額で収めることができます。

また、どのような用途でもアプリ開発以外に発生する付随費用を軽視できません。付随費用はアプリの機能に関わらず必要で、対応が疎かになれば開発に支障をきたします。場合によっては開発したアプリの利用を行えず開発費の回収が難しくなるケースも考えられるでしょう。

代表的な付随費用としては固定費が挙げられ、機材の購入費・使用料・使用するサーバやドメインの維持費・主要OSへの対応費などが該当します。サーバ維持費は運用開始後も年間で数十万~数百万円を要するケースがありますが、機材費もアプリの開発規模によっては全体の予算へ影響力があります。

加えて、開発が終了して運用を開始した後も、アプリから別途の付随費用が発生します。開発したアプリをアプリストアにて販売する場合は登録料が必要です。Google Playでは1つのアプリの登録ごとに25ドル分を支払い、App Storeの場合は1年につき99ドル分の年会費が必要になります。

また、運用先のOSでアップデートが行われた場合は、さらに対処する費用も追加で必要です。ここでの対処とは、アップデート後のOSでもアプリを利用できるようにすることだけではありません。変更に伴う不具合やバグへの処置、最悪の場合はアプリの再設計を行う可能性もあります。

これらアップデートへの対処に加え、日々のアプリの情報追加・不具合修正などを加えると、維持費が毎月100万円単位に膨らむ場合もあるのです。

作り込みによってさらに費用がかかることも

より多くのユーザーにアプリを使ってもらいたかったり、アプリによって多くの収益を得たかったりと、アプリ開発の目標はさまざまです。そうした、目標を達成するにはアプリユーザーのニーズに沿った機能を搭載しなければなりません。デザイン・ログイン連携・決済システム・他社ツールの使用・会員データの管理など、作り込みを行う分費用は膨らみます。では、具体的にはどの程度の追加費用がそれぞれの分野で必要となるでしょうか。

まず、ユーザーがアプリを開いて最初に目にするものは、アプリのデザインです。良い印象を与えながらもアプリの機能を損なわないデザインの設定は、単に優れたグラフィックだけでは不十分です。

利用機器の違いによって画面サイズが異なるため、異なる利用機器にアプリのデザインを違和感なく表示させるためには一定の技術と経験が必要です。自社でデザインを調整するシステムを考案できる場合は10万円から30万円ほど、外部に委託する場合は100万円程度の費用が相場となっています。

次に、セキュリティ保護機能やログイン機能です。ログインの際はInstagramやFacebookなどのSNSと連携することで、自社側のアプリで本人確認の手間なくユーザーを獲得できます。実装のコストは10万円~25万円程度となっています。

一方、SNS連携ではなく、通常の会員登録・ログイン機能を搭載する場合はユーザーの個人情報の管理システムを一から構築する必要があります。メールアドレスとパスワードを用いてログインする一般的な仕組みであっても、導入には20万円から50万円の費用が必要です。

そして、EC系アプリなどの開発の際は、売上金などの出し入れを可能にする決済システムの搭載が必要です。このシステムが既に自社内で用意されていれば、システムを連携させるだけで済むため費用は15万円から30万円ほどでアプリ内決済が行えるようになりますが、新たに連携のための開発が必要な場合は、システムにもよりますが50万円から80万円程度の費用がかかると想定されます。

また、企業によって使用するECシステムは多種多様であり、開発時は一から仕様の理解と連携の構築を行うこととなります。そのため、連携の実装には1ヶ月程度の期間がかかります。

さらに、InstagramなどのSNSやGoogle Mapなどの他社の人気ツールを自社のアプリ内に取り込む方法も、アプリの利便性向上に有効です。それぞれのツール導入に必要な費用の目安は以下の通りです。

・SNSとの連携:20万円

・Google Mapとの連携:10~25万円

・音声機能、通知機能、写真撮影機能:10~20万円

・動画公開機能:20~40万円

相場通りの費用になるとは限らない

アプリ開発は人件費・固定費・維持費・アプリに求める機能数など、さまざまな要素の組み合わせによって構成されています。また、それぞれの要素にどの程度の費用を投下するかという選択の幅があるため、アプリ開発の相場はジャンル別の分類においても非常に幅広いです。実際に多くのアプリ開発会社も料金表や費用例をウェブページ上に公開せず、見積もりを示すのみの会社が多く見られます。

重要なのはアプリの『企画』

アプリ開発の目的や用途を明確化せず開発をスタートさせると、予定外の機能追加や工期延長をもたらし、費用が当初の見通し以上に増大する原因になります。経営への負担が増して事業計画に悪影響を及ぼすばかりか、利用者へのニーズにも十分に応えられず、開発による利益を生み出すことも難しくなるでしょう。

こうした事態を避けるにはアプリ開発の前に、アプリの目的や用途などを明らかにした後に、企画を良く練る必要があります。何より、企画を立てていく過程で、アプリの機能とその機能実現のための見積もりが明確になります。それだけでなく、他社アプリとの差別化や収益獲得の方法の明確化など、アプリ活用の道筋を示すためにも欠かせないステップです。

企画の立案では、アプリの概要やアプリを使ってほしいユーザーの想定、アプリで実現したい目標などの項目について話し合います。小さなアイデアやささいな思い付きが飛躍的なひらめきを生むきっかけともなり得ますので、できるだけ多くの意見を出し合い記録するようにしてください。意見や発見を把握したところで、それらを簡潔にまとめ上げるところまで進められれば、アプリの概要は完成です。なお、こうした方針選択の際にセキュリティや保守運用といったアプリの機能面以外の要素も忘れずに検討しましょう。

開発するアプリを利用するであろうユーザーの想定は、アプリ機能の方針選択の重要な指針となります。年齢や性別、職業などを想定することで目的が明確化しやすくなります。また想定されるユーザー層へのヒアリングやアンケートなどを行い、情報収集することで、想像では気づかない視点を得ることが可能です。「足りない機能や不必要な機能はないか」「他に解決したいことはないか」といった質問を重ねて、ユーザーニーズの的確な把握に努めましょう。

アプリによってユーザーが、どんな問題が解決できるかどんな体験を得られるかなどといった価値を得られるようにするかを考えましょう。価値が得られるようにするにはどうするかという視点を加えることで、機能追加をするべきかへの判断基準となります。

また、事業面の目標、アプリの収益に関する検討を忘れてはいけません。月間のアプリ利用者数や年間の売上額などの具体的な数字を目標に設定できれば、目標が明確になりチームでの認識のズレも生まれにくくなります。

こうした企画の立案によって、他社アプリとの差別化も立案前に比べ実施しやすくなります。アプリの差別化にはアプリ自体の設定調整やコンテンツの作成が不可欠です。それらの実施には利用者の属性やアプリの利用履歴の把握が必要ですが、企画立案の過程で情報収集を行うことで直接でなくとも関連する情報を入手できます。

情報に応じてよりニーズに沿った機能を整備できれば、他社アプリと異なる特徴を持つアプリの運用が可能となり収益向上を望めます。差別化の過程でアプリの収益の発生形態を確認すれば、収益獲得の方法も明確に把握できるのです。

まとめ

アプリの開発費は開発を依頼する人材の数や使用する機材、搭載する機能の内容などで変化します。開発費に影響する要素は多いですが、それぞれの内容を明確にして把握すれば、自社アプリ開発の費用の推測が可能です。

また、無駄がない効果的なアプリ開発と運用を行うためには、丁寧な企画の実施が欠かせません。手順を踏んでアプリ開発の準備をしっかりと行って、収益の見込めるアプリ開発を成功させましょう。

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Posted by syamamoto