アプリ開発費用を見積もる際のポイント&安く抑えるコツを紹介

近年、スマホの普及によりアプリは以前よりも身近なものとなりました。ビジネスの場においても例外ではなく、さまざまな企業が自社アプリをリリースしています。この記事では、アプリ開発を依頼する際のポイントやアプリ開発にかかる費用を安く抑える方法について解説します。
アプリ開発を依頼する場合は「見積もり」が必須!
アプリ開発には膨大な費用がかかるため、見積もりを慎重に行う必要があります。
見積もりをする際にはまず、発注側の希望を言語化するための要件定義を行い、どんなアプリを作りたいのか細かく伝えます。開発会社は、要件定義の内容をもとにアプリ開発にかかる費用の見積もりを出し、これを比較・検討して依頼先を決めるのが一般的です。
そして、比較検討をする際には単純な価格だけでなく、アプリの内容や担当者の仕事ぶりも含めて、総合的に判断するのがポイントです。単に安さだけを追い求めると、スペックを犠牲にしなければならなかったり、多額の追加費用が発生したりするケースもあるため注意しましょう。
見積もりを依頼する場合に押さえておくべきポイント
見積もりとは、こちらの要望をヒアリングした時点での金額です。つまり、実際の費用とは異なるケースが多くあります。実際にかかる費用と見積もりの差をできる限り少なくするためにも、この項目では見積もり依頼をする際に押さえておきたいポイントについて解説します。
見積もりは必ず複数社に依頼する
最終的な開発費は業者によって価格が異なるため、場合によっては相場よりも見積もりが高いケースもあります。そのため、見積もりは複数社に依頼し、価格を見比べた上で契約を結ぶのがおすすめです。「他社に依頼した方が低コストで済んだ」といった後悔を生まないためにも「見積もり」は複数会社に依頼する方が良いと言えます。
ただし、価格面だけを見て依頼先を決定してしまうと多くの場合失敗してしまいますので注意が必要です。特に、複数社に見積もりを出してもらった中で、突出して安い見積もりを提示する企業には注意が必要です。他社に比べて品質が低かったり、見積もりにトラブルに対する備えが含まれていなかったり、または自社の提示した要件を正しく理解していなかったりといった可能性が考えられ、開発が失敗する要因となるおそれがあります。
作りたいアプリのイメージを明確にする
理想的なアプリを完成させるには企画を曖昧にせず、明確なイメージをもつ必要があります。
曖昧な部分があるとビジョンを共有できないため、思っていたアプリと違うものが納品されてしまうなどトラブルの原因になるケースもあるためです。
とはいえ、アプリ制作の見積もり依頼をおこなった経験がないなど、どのようにアプリのイメージを制作会社に伝えればよいかわからないこともあるでしょう。その場合は、アプリの要件定義を制作会社に依頼することもできますので、ぜひ活用してみてください。要件定義とは、「こんなアプリにしたい」という要望を明文化してまとめたものです。制作会社の力を借りて作りたいアプリのイメージを具体化してもらうことで、相見積もりの結果がより正確なものとなります。
依頼する企業の実績や得意分野を把握しておく
アプリの開発会社にも得意不得意があります。例えば、オールラウンドに対応可能な開発会社や業務系ツールアプリを専門としている会社や、ニュースアプリに特化している会社などさまざまです。
そのため、依頼する開発会社は、作りたいアプリと依頼先の得意分野が一致していることが望ましいと言えるでしょう。また、アプリ開発の見積もりを出してもらう前に、開発実績を確認することも大切です。過去に似たアプリの開発経験があるのであれば、スムーズな開発や的確なアドバイスが期待できます。
保守運用の依頼範囲の決定や見積もりも行っておく
アプリは開発してリリースしたら終わりではありません。ユーザーの意見や問い合わせに対応したり、バグ修正やアップデートの修正対応をしたりするなど、運用業務が発生します。
そのため、自社のリソースなどを鑑み、「最低限の運用・保守費だけがあれば良いのか」「そもそも運用部分は頼まないで済むのか」「運用面のコンサルティングを含め、対応をとってもらった方が良いのか」といった判断が必要です。仮に自社で保守運用を担う場合であっても、まずは信頼できそうな企業に相談してみることも一つの手でしょう。
トラブル発生時の追加費用についても確認しておく
アプリ開発の見積もりは、初期段階で予想される工数をもとに算出された、不確定金額です。
トラブルが発生した際に発生する原因追求の義務や損害賠償責任など、想定外のことが発生した際には工数が増えるため金額も増えてしまいます。しかし、見積もり金額にリスク対応に備えた費用が考慮されていれば、予定よりも大きな費用がかかることはありません。そのため、想定外の工数が増えたときのために、リスク費用が盛り込まれているか開発会社側に確認しておくと良いでしょう。
アプリ開発の見積り金額を抑える方法とは?
見積もりのポイントを理解したうえで、ここからは開発費の見積もりをできる限り抑える方法をいくつか紹介します。大きなコストカットが可能になるケースもあるため、見積もりをする際には、開発会社に確認してみると良いでしょう。
必要な機能の優先順位をつける
開発中や開発終了後の機能追加は、納期が延期になることでスケジュールが狂ってしまうので、開発費用が大きく膨らんでしまいます。そういったトラブルを防ぐためにも開発前からアプリに実装する機能について検討し、アプリの目的や画面ごとにあわせた機能と優先順位を具体的に記した依頼書を用意しておくと良いでしょう。
また、開発費が予算オーバーしてしまった場合に、優先順位の低い機能は実装しない選択をすることで費用を抑えるというケースもあります。
Webアプリやハイブリッドアプリなど安価な手法が取れるか確認する
iOSやAndroidにあわせたアプリを「ネイティブアプリ」と言いますが、これらを開発する場合は両方に対応したアプリを作ることになるため、実質2倍の開発費がかかってしまいます。
しかし、ブラウザ上で操作できるWebアプリとしての制作であれば、比較的低価格でアプリを開発することが可能です。現在はネイティブアプリのほうが普及していますが、こだわる理由がなければWebアプリまでスコープを広げてみても良いかもしれません。
また、Webアプリの他にもネイティブアプリとWebアプリの良い所取りである「ハイブリッドアプリ」もおすすめです。プラットフォームに依存せず、デバイスによる制限もないので開発コストの低減ができるという特徴があります。
依頼先の企業の規模を変える
大手のアプリ開発会社に依頼すると、どうしてもコストがかかってしまう傾向にあります。
そのため、複雑な機能や大規模な開発が必要ではない場合は、中小アプリ開発やベンチャー企業、個人のフリーランスに依頼してコストダウンを図るという選択肢もあります。いずれにせよ、依頼する前には、大企業・中小企業・個人(フリーランス含む)それぞれの特徴をよく理解しておくことが大切です。
例えば、中小アプリ開発会社は必要以上の人員を割かないことでコストを抑えています。大手のアプリ開発会社に負けないエンジニアやプログラマーがいるケースも多く、ジャンル特化などの様々な工夫をしているため、アプリの品質に影響を及ぼすこと無くコストを抑えることが可能です。しかし、信頼できる会社か選定する手間がかかるほか、開発が集中した際には技術者が不足しやすいなどのデメリットもあります。
個人のフリーランスに依頼する場合はさらにコストカットできますが、組織に所属していないため作業の遅延やトラブル対応に時間がかかるリスクもあります。過去の実績を確認するなどしてアプリ開発に関する技術やクオリティの確保ができれば、他の依頼先よりも圧倒的に費用を抑えることができるため、個人に依頼する場合には入念な確認が必要でしょう。
レベニューシェアを検討する
「レベニューシェア」とはパートナーと契約して収益を分け合う提携形態のことで、依頼者と開発会社が運営にかかる費用を負担し、リリース後の利益もあらかじめ決めた分配ルールに従って分け合うという体制です。長期的な契約となるため、単なる「契約相手」というよりも「共同経営」や「パートナー」に近いと言えるでしょう。
この方式は開発会社にも利益が発生するようなアプリでないと契約してもらえないため、契約へのハードルが高くなりやすい特徴があります。しかし、開発会社にも利益が発生するため開発への意欲やクオリティの向上も期待できるというメリットもあります。
例えば、ECサイトではサイトリリース後、実際に商品が売れることで収益が上がります。この収益をサイトの運営者と制作者が分け合うため、サイトの売上が上がるほど運営者だけでなく制作者も多くの利益を得ることが可能です。運用面で利益が見込めるサービスであれば、契約を断られるデメリットも相殺されるため、互いにWin-Winの状態を実現できる可能性もあります。
まとめ
この記事では、アプリ開発の見積もりをする際のポイントや開発費を抑える方法を紹介しました。
費用を抑えてアプリ開発をするには、「どのようなアプリをつくりたいのか」といった明確なビジョンをもって実装する機能を決めることが大切です。そして、依頼先とのコミュニケーションを密にとれるかどうか、保守運用やトラブル発生時の対応可否などを確認しておく必要があるでしょう。
また、Webアプリやハイブリッドアプリなどの選択肢や、中小開発会社・個人への依頼先変更、レベニューシェアといった手段を選ぶことでコストカットできるケースもあります。コスト面でお悩みの方は、ぜひご紹介した内容を参考にリーズナブルなアプリ開発を実現してみてください。