アプリ開発の手法によって費用はどう変わる?各手法の特徴も紹介

2022年12月19日

新しくアプリを開発する時に直面するのが、「どういった手法で開発するか」という問題です。

開発にはどのような手法があるのか、その手法のメリット・デメリットはどういう点か、などの情報を整理して理解することが、アプリ開発における重要なポイントです。そこで今回は、アプリ開発をするための手法と費用・期間などについてご紹介します。

アプリの開発手法にはどのようなものがある?

アプリの開発をする際は、大きく分けて「フルスクラッチ型」「テンプレート型(パッケージ型)」「ノーコード型」という3つの開発手法があります。

フルスクラッチ型は対象となる業務に合わせて完全にオリジナルなアプリを開発する方法です。これに対して、テンプレート型は既存のアプリを使用しつつ、カスタマイズによってアレンジや機能追加を行います。そしてノーコード型はコーディングを必要としない、完成しているテンプレートやパーツを組み合わせてアプリを開発する手法です。本記事では各手法の特徴、開発費用などについて解説します。

フルスクラッチ開発

フルスクラッチ開発とは、オーダーメイドで完全にオリジナルなアプリを、ゼロからを開発する手法です。既存のアプリに無い機能を実装させたい場合などに、この開発方法が多く用いられます。かつては、この方法だけしかアプリ開発の選択肢がありませんでした。

大規模な開発になると、機能ごとに工程をプロジェクト化し、それぞれ別々に進行することもあります。

メリット

フルスクラッチ型開発の最大のメリットは様々な面における自由度の高さです。

オーダーメイドで完全にオリジナルのアプリを制作できるため、開発の自由度が高く、イメージ通りのデザインや機能を高い再現性で具現化できます。

既存のシステムをベースに開発した場合は仕様や操作、デザイン等が同じシステムを使ったアプリと似てしまいます。フルスクラッチ開発では、そのような既存のシステム使用による類似は発生しません。

また、カスタマイズが自由にできることもメリットの一つで、既存のシステムでは行えないような複雑な機能の搭載や微調整が可能です。業務拡大に伴う機能拡張や、システムの改良、改善が必要になったときに、スクラッチ型開発であればフレキシブルに対応できるでしょう。

さらに、追加機能の実装も可能で、影響する範囲が限られているようなものは簡単に対応できます。

フルスクラッチ型開発では既存のシステムのインターフェースに合わせる形でのアプリ開発が可能です。そのため、勤怠管理や会計システムなど、社内で使用するアプリとの連携をスムーズに行うことができます。

デメリット

一方、デメリットは開発費用が高額になってしまう点です。

テンプレートなどを使用せず、ゼロからの開発になるスクラッチ開発では開発コストが高額になるケースも珍しくありません。

開発費の主な内訳は稼働するエンジニアの人件費です。アプリの要件が複雑になり、開発期間が長期化するほど人件費は高くなります。

また、そもそもアプリをゼロから開発するには、一定以上の開発期間が必要です。開発期間も半年から1年で終了すれば大きな問題はありませんが、場合によっては数年に及んでしまうケースもあるでしょう。さらに開発終了後、もしテストで不具合が発見された場合には、その修正のため、さらに開発期間が延長し余分に人件費が発生してしまいます。開発プロジェクトの難易度の高さも開発コストの高騰に繋がります。

テンプレート型(パッケージ型)の開発

テンプレート型(パッケージ型)開発は、すでに出来上がっている既存のシステムを活用したアプリ開発方法です。販売されているテンプレートソフトウェアをインストールし、ソフト内でアプリの目的に応じて機能を組み合わせ完成させます。

あらかじめ用意されたシステムの雛形を用いて、そのまま活用したり、テンプレートや機能を組み合わせたりすることで比較的簡単にアプリ開発ができます。

多くのソフトウェアでは、業種ごとに多彩なテンプレートや機能が用意されているため、簡単なアプリであれば、十分ハイクオリティなものが開発できます。開発費用も、ゼロから開発をするスクラッチ型に比べ、既存のシステムを使用するため安価でのアプリ開発が可能です。

近年はこのタイプの開発手法を提供するサービスが増えているため、アプリ開発の敷居が下がっています。

メリット

テンプレート型(パッケージ型)を導入する最大のメリットは、費用を安く抑えることができる点です。

フルスクラッチ型開発はゼロからアプリを制作するのに対して、テンプレート型開発は既にパッケージとして完成しているアプリを元に、カスタマイズを施していく形式です。

通販や在庫管理、販売管理、会計処理などの業務は企業によって大きく業務内容が異なるということはありません。そのため、テンプレート型を利用することで、ゼロからの開発より費用を抑えられます。

また、手順がある程度マニュアル化されているため、多くのエンジニアが問題なく扱えます。つまり、高い技術が無くてもアプリ開発ができるため、ハイレベルのエンジニアに依頼する必要がないのです。エンジニアのグレードをいくらか落とすことができれば、人件費の面でも安く抑えられるでしょう。

デメリット

費用を安く抑えられるテンプレート型開発ですが、導入の仕方によっては高額になるデメリットがあります。テンプレート型は多彩なバリエーションによるカスタマイズが可能です。しかし機能を盛り込みすぎると開発費用が高額になってしまいます。

また、テンプレート型はカスタマイズできる内容に制限があり、自由にアプリを作り込むことができないというデメリットもあります。何事も「テンプレート次第」となってしまいますので、あらかじめアプリに必要な機能を実現できるテンプレートを選ぶようにする必要があります。

もしも高度なカスタマイズが必要な場合は、フルスクラッチ型などの自由度の高い開発方法を選ぶようにしましょう。

ノーコード型の開発

ノーコード型とは、コーディング(プログラミング)をしない、つまりコードを書かずにアプリ開発をすることです。

通常のアプリは、ソースコードを書いて開発します。しかし、ノーコード型では、クリック、ドラッグ&ドロップなどのGUI(Graphical User Interface)上の操作のみでアプリ開発を行います。そのためプログラミングの技術や高度な知識が不要になり、エンジニア・プログラマー以外の方でも簡単にアプリ開発をすることが可能です。

また、完成しているテンプレートやパーツを組み合わせて開発するため、制作イメージとの齟齬が生まれにくいです。このような利便性に加えて、中には無料で使用できるノーコード提供サービスもあるため、急速なスピードで世界中に広まっています。

メリット

ノーコード型開発のメリットは、その開発スピードの速さと、それに付随するコストダウンです。開発作業のほとんどが既存のテンプレートの活用で行えます。

イメージを直感的に組み立てられるため、ハイレベルなプログラミングスキルやITスキルを必要としません。そのため、素早いアプリの開発が可能になります。

コーディングを必要としないノーコード型開発は、時間と労力を大幅に削減できるため、人件費の大きなコストダウンに繋がります。コーディングによる開発の場合はテストが非常に重要です。というのも、何かしらのミスにより、リリース後にバグが発生する可能性があるためです。バグが確認された場合さらに改修のコストが発生してしまいますが、ノーコード型開発ではミスが少ないため、改修も短時間、低コストで行えます。

高い専門知識が無くても開発ができ、学習時間も少なく済むため、場合によっては外部エンジニアに依頼する必要もありません。そのため費用対効果が非常に高い方法と言えます。

デメリット

デメリットとしては、プラットフォームへの依存リスクが高いという点があります。高いプラットフォームへの依存は、セキュリティやデザイン、機能などの面で大きな制限が出てきます。ノーコード型開発は内部のロジックが読まれやすいため、特にセキュリティでの脆弱性が大きなリスクとなります。デザイン・機能面でも、あらかじめ用意されたパーツを使用しアプリ開発を行うため、複雑な仕様を満たす開発はできません。また、大規模で複雑なアプリの開発にも向いていないでしょう。

また、プラットフォーム提供元が値上げをすれば従う必要があり、サービスが終了すれば開発したアプリが使用できなくなります。さらに異なるプラットフォーム間ではインターフェースが統一されていないため、乗り換えは困難です。

現状、ノーコード型開発プラットフォームの多くは、海外企業が提供しています。不明点の問い合わせなどは英語で行う必要があり、学習ツールも日本語ではないことが多いです。開発が簡単な反面、英語力を求められるため、翻訳に時間を取られてしまうという懸念もあります。

 

各手法でかかる費用とは?

アプリ開発にかかる費用は、アプリの種類や実装する機能によって大きく変動します。そのため、具体的な開発費用を提示することは困難です。しかし、おおまかな費用の算出は可能です。

一般的に、「開発するエンジニアの人件費×開発期間」が開発費用の算出方法とされています。ここでは開発費用が高価な順にフルスクラッチ型・テンプレート型・ノーコード型と解説します。

フルスクラッチ型開発の一般的な費用相場

ゼロから開発するフルスクラッチ型は長い開発期間が必要になるため、開発費用が高額になるケースがほとんどです。開発プロジェクトの規模によって変わりますが、約300万~約2,000万と非常に幅があります。実装する機能が多数になる場合はカスタマイズが必要になるため、さらに高額になることも想定されます。開発規模や要件によって変わりますが、最低でも数百万円という費用は想定しておくべきでしょう。

テンプレート型(パッケージ型)開発の一般的な費用相場

テンプレート型は、既にパッケージとして完成しているアプリをカスタマイズして開発します。販売されているアプリを購入して使用するため、スクラッチ型のようにゼロから開発する必要がありません。そのため人件費の削減と開発期間の大幅な短縮が可能で、開発費用を安価に抑えることができます。

想定価格はデータベースを連携するか否かによって多少変動します。データベースを連携しない場合は200万程度で、連携する場合は400万程度が相場です。もちろんアプリの仕様などによっても変わります。

ノーコード型開発の一般的な費用相場

ノーコード型は、通常の開発では必須であるコーディングが不要です。そのため開発にエンジニアを雇う必要がありません。社内のリソースのみでアプリ開発ができるので、エンジニアに割く人件費を大幅にカットできます。またノーコードなのでミスも少なく、開発から改修まで短期間で開発が可能です。開発工数の短縮は開発コストの削減に繋がります。アプリの内容や規模にもよりますが、ノーコード開発を外注した場合は、一般的な費用相場は20万円~80万円程度となっています。

開発には既存のプラットフォームを使用するため、非エンジニアでもアプリの仕様変更やメンテナンスが可能です。そのため保守・運用の費用を大幅に削減できます。

開発にかかる期間の違い

ゼロから完全オーダーメイドで制作するフルスクラッチ型が、一番長い開発期間を必要とします。半年以上が一般的で、ケースによっては1年以上かかります。

既存のパッケージをカスタマイズするテンプレート型なら1ヶ月から3ヶ月程度で開発が可能です。

ノーコード型は既に完成されたパーツを組み合わせて開発するため、上記2つの開発方法よりスムーズな開発が可能です。最短で2週間程度で開発できます。

アプリ開発はどの手法を選ぶべき?

デザインや機能でオリジナリティを出したい場合にはフルスクラッチ型開発が適しています。最大のメリットである自由度の高い開発で、他社には無い自社だけのオリジナリティのあるアプリ開発が可能です。

テンプレート型(パッケージ型)開発は、比較的安価でクオリティの高いアプリの制作ができるため、コストパフォーマンスを求める場合は最も適しています。販売されているテンプレートソフトウェアを用いて開発するため、簡単にアプリ開発が行えるのも特徴です。

「開発費用を抑えたい」「早急にリリースしたい」という方にはノーコード型が最適でしょう。専門的な知識を必要としないため、アプリ開発の敷居が最も低く、非エンジニアでも開発ができます。エンジニアに依頼しないことで開発費用が抑えられ、完成されたパーツの組み合わせで開発するため早急な開発が可能です。

まとめ

今回はアプリ開発の手法とそれに伴うメリット・デメリットを紹介しました。アプリ開発の際は、フルスクラッチ型、テンプレート型、ノーコード型それぞれの開発費用と特徴を考慮する必要があります。その上で自社の業務に最も適した手法で行うことが、アプリ開発における重要なポイントでしょう。

開発手法

Posted by syamamoto