アプリをノーコードで開発するメリットと費用とは?

2022年12月19日

スマホアプリを開発するにあたって、近年はプログラミングの知識がなくてもアプリを作れる「ノーコード開発」も盛んになっています。この記事では、エンジニアやプログラマーでなくてもアプリ開発ができると話題の「ノーコード開発」について、概要やメリット、費用相場などを解説します。

アプリの開発手法「ノーコード開発」とは?

ノーコード開発とは、コードを書かないでアプリを開発する方法です。

一般的に、アプリ開発はC言語やJavaといったプログラミング言語を使ってソースコードを書いてシステムを作ります。そのため、これまでは専門知識を持つ人材に依頼したり、専門の制作会社に頼んだりするしかありませんでした。しかし、ノーコード開発では、コーディングやプログラミングといった特別な知識や技術をもっていなくてもクリック、ドラッグ&ドロップなどのGUI(Graphical User Interface)上の操作のみでアプリ開発を行えます。エンジニアやプログラマーでなくても、簡単にアプリを作れるのです。また、完成しているテンプレートやパーツを組み合わせて開発するため、制作イメージと完成形との差が生まれにくくなります。

無料で使用できるノーコード開発ツールもあり、アプリのリリース費用のみの負担で開発〜運用まで実施できるものもあるようです。こうしたハードルの低さ、手軽さから、ノーコード開発は急速なスピードで広まっています。

例えば「AppSheet」はスプレッドシートなどと連携したアプリを開発できるノーコード開発ツールで、2020年1月にGoogleに買収されたことで注目を集めました。他にも様々な企業がノーコード開発ツールをリリースしています。

ちなみに国内においても、コロナ禍で政府が国民に一人10万円の「特別定額給付金」が支給される際に、兵庫県加古川市の職員がノーコードサービスを活用して、案内用紙とスマホやパソコンがあれば申請できる仕組みである「郵送ハイブリッド方式」を開発しています。郵送という市民側の手間と、オンライン申請の入力ミス対応や書類の内容確認を手作業で行っていた職員の手間を無くし、スムーズな給付金の支給に成功したことで大きな話題を呼んだのです。

主なその他の開発手法

アプリの開発手法にはほかにも「フルスクラッチ開発」「テンプレート開発」があります。

フルスクラッチ開発とは、システムをゼロから構築してアプリ開発をする方法のことです。独自の機能やレイアウト、デザインなどをアプリに取り入れることができ、オリジナルのアプリを開発できることが特徴です。

一方テンプレート開発は、既存のシステムを利用してアプリを開発する方法です。フルスクラッチ開発と比較して作業にかかる期間や工数が少なく、初期費用を抑えることが可能です。

それぞれの開発手法について、さらに詳しく確認したい方はこちらの記事も併せてご覧ください。

アプリ開発の手法によって費用はどう変わる?各手法の特徴も紹介

 

ノーコード開発のメリット

ノーコード開発には「特別な技術や知識が無くても開発可能」「開発にかかる時間を抑える」「開発コストがかからない」といったメリットがあります。先ほどご紹介したように、プログラミングに関する特別な技術や知識をもっていなくても、ノーコードでアプリ開発ができます。また、顧客のフィードバックをもとに仕様変更を加えたり、検証したりする作業も可能です。

プログラミングの勉強にはどうしても時間がかかってしまいますし、コーディング作業はとても時間がかかるうえにバグが発生してしまうことも少なくありません。完成度の高いアプリをリリースするためには、検証などに時間を割かなくてはいけないでしょう。

ノーコード開発であればコードを書く必要がないため、発生する時間を短縮することが可能です。こうしたメリットにより、ノーコード開発では開発コストを大幅にカットすることができます。

ノーコード開発のデメリット

一方で、ノーコード開発にもデメリットはあります。例えば「大規模開発には向いていない」「ツールの選定に時間がかかる」「プラットフォームに依存してしまう」といったことが挙げられます。

基本的に、ノーコード開発ではツールに用意された機能を使って開発を行います。そのため、ツールにない独自の機能や複雑な機能を組み込みたい場合は向いていません。

また、プラットフォームのサービスが終了してしまうと、これまでに開発してきたものが全て利用できなくなってしまったり、料金の引き上げによるコスト増加やシステム障害によって利用できなくなったりする可能性もあります。さらに、セキュリティやデザイン、レイアウトなどもツール次第です。

そのため、ノーコード開発を採用する際には、開発目的に合ったツールを慎重に選ぶ必要があります。また、そもそもノーコードでの開発で問題がないか見極めるために、いくつかノーコードで作られたアプリを実際に触ってみて、使い心地を試してみることをおすすめします。特に、自社で採用しようと考えているノーコード開発ツールで作られたものを試すことができればベストです。動作や機能に不安があるようなら、別の開発手法にシフトするといった転換も必要です。

さらに、ノーコード開発ツールの中でもWebアプリをベースに作成するものの場合、出来上がるアプリはやや動作が遅いというデメリットもあります。ただ、ネイティブアプリを作成できるツールもあるので、ツール選定の際はそういった面もチェックしておくことをおすすめします。

そのほか、独自の機能やデザイン、高水準なセキュリティなどを求めている場合には、他の開発手法を検討することをおすすめします。

ノーコード開発にかかる費用

ここからは「ノーコード開発」にかかる一般的な相場や、他の開発手法の相場を紹介します。

一般的なノーコード開発の相場

そもそも、アプリ開発の費用の見積もりは以下のような計算式で試算されています。

アプリ開発に必要な時間(工数)× 1時間あたりのエンジニアのコスト+α=見積もり金額

ノーコード開発を外注した場合の費用相場は約20~約80万円程度が一般的です。

先ほどご紹介したように、専門的な技術・知識を必要としないため、後述しますが他の開発手法に比べて大幅なコストカットができます。また、ノーコード開発ではエンジニアに割く人件費も大幅にカットすることができます。上記であげたように、一般的に開発費用は人件費をかけあわせて算出されますが、エンジニアの確保が最小限で済むノーコード開発では、かなりの金額を抑えながら開発が進められるのです。さらに、ノーコードなのでミスも少なく仕上げやすく、開発から改修までにかかる時間を短縮できます。

他の開発手法との比較

用いる開発手法にもよりますが、アプリ開発における一般的な相場は、約300~約2,000万円です。

例えばフルスクラッチ開発の場合、開発期間や実装する機能などによって費用は大きく変動します。費用面は最低でも数百万円、開発期間は一般的に半年~1年ほどを予測しておくと安心です。

一方、パッケージ開発の相場はカスタマイズやデータベース・システム連携の有無で費用が変動します。こちらもあくまで目安ですが、おおよそ200~400万円ほどを見積もっておくと良いでしょう。

ちなみに、どんな開発手法でも最終的な金額はアプリの内容や規模によって異なります。

ノーコード開発はどういったケースにおすすめ?

ノーコード開発は、アプリ開発の技術や知識がなくてもクリックやドラッグ&ドロップといった簡単な操作で、アプリ制作が可能です。操作が簡単なので、開発にかかる費用や期間も大幅にカットできるというメリットもあります。そのため、「オンラインキャンペーン用のサイトを早急に作成したい」「ECサイトをすぐに立ち上げたい」「技術はないけどアプリを作りたい」「エンジニアに依頼せずに業務を効率化するツールが欲しい」といったケースにおすすめです。早さと手軽さを第一に優先するのであれば、おすすめの開発手法と言えます。

まとめ

ここまで、ノーコード開発を中心にアプリ開発のメリットや費用相場についてご紹介しました。

ノーコード開発とは、特別な技術や知識が無くてもクリック、ドラッグ&ドロップなどの操作だけでアプリが開発できる開発手法のことです。大規模開発には向いていない、ツールの選定に時間がかかる、プラットフォームに依存してしまうといったデメリットはあるものの、短期間で開発ができ、特別な技術や知識も不要なため、開発コストを大幅にカットできるという大きなメリットもあります。

ノーコード開発においては、まずツールで実現可能なことを把握し、いかに活用するかといった、柔軟な発想力が必要になります。また、ユーザーの立場で使いやすさを考えたり、トレンドの機能を取り入れたりする視点も重要です。皆さんも、ぜひ開発したいアプリの内容や実装したい機能に合った開発手法を選びましょう。

開発手法

Posted by syamamoto