アプリ開発費用は外注先の規模や形態によって違う!詳細を解説

スマートフォンが普及した昨今、一般ユーザー向けのものからビジネス向けのサービスまで、様々な種類と機能を持ったモバイルアプリがリリースされています。特に、toC向けのアプリなどでは企業とユーザーの接点としての役割を果たすため、多くの企業がコミュニケーションツールの一つとして活用しています。ちなみに、2020年度のアプリダウンロード総数は約2,000億件にのぼり、アプリの重要性は年々増加傾向です。
こうした背景もあり、アプリ開発を検討している企業は少なくありません。しかし、アプリ開発には技術力と経験が必要とされ、社内開発が困難な場合もあります。そこで、アプリを開発する際には開発会社に外注する方法が一般的です。そこでこの記事では、アプリ開発の費用について、外注先の規模や形態による違いなどを詳しく解説します。
そもそもアプリ開発は内製or外注どちらがいい?

アプリ開発の方法は、大きく以下のようなケースに分類できます。
- 社内の開発人材を登用する方法(内製化)
- 新たに社員を雇用し、社内開発行う方法(内製化)
- 専門性の高いアプリ開発会社などに外注する方法(外注)
自社開発・外注での開発ともに、良い点も悪い点もそれぞれ異なります。
まずは開発ケース毎の特徴を理解し、自社に合った方法を選んでみましょう。
次章では、それぞれのメリットとデメリットをご紹介します。
内製(自社開発)のメリットとデメリット
アプリ開発を内製化するメリットは、自社ニーズを最大限に盛り込んだ理想のアプリを開発できる点にあります。
アプリ開発のよくある失敗例として、外注先とうまく意思疎通ができずに、アプリが想定通りにならないケースなどがありますが、自社開発ではこうしたコミュニケーションミスを減らせるのです。アプリ開発チームが社内にまとまっているため、コミュニケーション不足に陥る可能性が少なく、仕様変更や改善点が生じた際も、柔軟かつスピーディーな対応が可能です。さらに、アプリ開発経験で得た実績は社内に蓄積され、蓄積されたナレッジを人材育成・新規事業などに活かせるでしょう。
一方、アプリ開発を内製化するデメリットとしてコストがかさんでしまうことが挙げられます。
アプリを自社開発しようとする場合、社内にアプリ開発ができる人材を確保できていることが前提です。社内にこうした人材がいない場合は新たに雇用する必要がありますが、昨今はIT人材の確保が難しいこともあり、採用活動にかかる費用が大きな負担になる可能性があります。そして、社内に人材を確保する以上、人件費は売上にかかわらず一定額計上されます。また、エンジニアを確保できたとしても属人的な開発になってしまうと、エンジニアの退職に伴って社内からアプリ開発の知見がなくなり、継続的な開発が困難になることも考慮しなければなりません。
外注のメリットとデメリット
アプリ開発外注化する最大のメリットは、アプリ開発にかかる固定費を変動費化できる点にあります。固定費のうち大きな割合を占める人件費の削減は、企業が費用削減する上で重要な課題です。そこで開発を外注して人件費を変動費化すれば、アプリ開発にかかる費用削減に大きな効果があります。特に継続してリリースする計画がない場合はコストメリットが大きく、アプリ開発にかかる費用負担を適正化できます。
さらに、アプリ開発を経験と実績のある開発会社に委託すれば、品質の高いとアプリをスピーディーに開発してリリースすることが可能です。アプリ開発の企画から開発まで、どのプロセスを委託するかにもよりますが、プロフェッショナルであるアプリ開発会社に外注すれば、スピード感のあるアプリ開発を実現できます。
一方で、外注先のアプリ開発会社、あるいは開発するアプリの内容によっては、開発にかかる費用負担が大きくなる可能性があります。その理由はスキルの高いエンジニアほど1ヶ月あたりの作業単価が高額になるためです。また、アプリ開発を外注すると社内にアプリ開発のノウハウが蓄積されないデメリットもあります。
アプリ開発の外注先企業の候補とは?それぞれの特徴

アプリ開発の外注先候補には次のようなものがあり、技術力や開発費用にそれぞれ特徴があります。
大手企業
大手企業はアプリ開発の豊富な経験と実績が何よりの強みです。国内外の大手企業をクライアントに抱え、ターゲット・コンセプトに応じた開発ナレッジを多数有しています。大手企業のアプリ開発に携わった実績は、外注先として最も安心感があるでしょう。
特にアプリを通じて解決した課題はあるものの、明確にどんな機能を搭載すればよいか迷っている場合、大手企業の豊富な実績から導き出される的確な提案がアプリ開発を推進してくれます。
さらに、社内にアプリ開発経験が全く無い場合や、独自性の高いアプリを必要としている場合には、大手企業は強力なパートナーになり得るでしょう。
また、大手企業では人材も充実しているため、フロントエンドからバックエンドまであらゆるニーズに対応できるはずです。開発にかかる費用が高額になりやすい傾向にありますが、他の外注先企業と比較すると確実な成果が期待できるでしょう。
中小企業(ベンチャー含む)
中小企業やベンチャー企業は、特定の領域に特化したアプリ開発を得意とする傾向にあります。そのため、EC・ゲーム・ニュース・業務用アプリなど、様々な種類の中から自社が実現したいサービスと、制作会社の得意分野のマッチングを重視することが重要です。
また、中小・ベンチャー企業によっては大企業の開発陣よりも高いスキルセットを持った人材がいるケースも珍しくなく、質の高い開発を進めてくれることもあります。
開発費用についても、ネームバリューによるかさ増しや、ディレクション費など具体化しにくい項目が省かれているケースも多く、大企業よりも割安な費用になりやすいです。
フリーランス(個人事業主)
アプリ開発経験があるフリーランス(個人事業主)も外注先の候補になります。フリーランスも中小企業と同じく、特定領域のアプリ開発を得意とするケースが多いです。
フリーランスへの外注は大手・中小企業に委託開発するよりも、コストを抑えた開発が叶えやすいです。しかし、開発に関するすべての業務を一人で担当するケースが多いフリーランスとって、大型案件のアプリ開発をすべて一括で委託することは困難でしょう。
また、開発するアプリの種類にもよりますが、開発期間が長期化する傾向があり、発注側にマネジメントの負担が生じる可能性があります。
オフショア
オフショアは海外のアプリ開発会社に委託する方法です。作業単価が安い国にオフショア開発を活用することで、安価なアプリ開発が実現できます。
エンジニアの作業単価は国ごとに異なるため、作業者がどの国のエンジニアなのかによって費用は多少異なります。
ちなみに、オフショア開発の委託先として以前は中国やインドネシアが中心でしたが、現在はタイ・ベトナムといった新興国でのオフショア開発委託が盛んです。なお、オフショアでアプリ開発を行う場合には、オフショア開発の実績がある開発会社に委託する方法が一般的です。
外注する場合の費用相場は?外注先企業別に紹介

アプリ開発を外注する場合の費用相場は、アプリの種類や実装する機能で費用が異なります。
そのため、アプリ開発を外注する際の費用相場を具体的に算出することはできません。しかし、一般的なソフトウェア開発では「作業単価×期間」で費用を見積もるため、おおよそ目安になる費用は見立てられます。ここからはアプリ開費用の見積もり算出方法から、外注先企業ごとに異なる費用相場の実態ついてご紹介します。
アプリ開発の見積もりの出し方
アプリを外部委託で開発する際、必要になるコストのほとんどが外注先エンジニアの人件費です。
アプリ開発を含むソフトウェア業界では、開発の見積もりに「人月」という単位を用います。人月はエンジニア1人が1ヶ月に行える作業量を表しており、開発費用見積もりの際に使用されています。
エンジニア1人月あたりの費用は技術力によって変動し、1人月あたりの費用相場は一般的に以下のとおりです。
- 初級エンジニア:60~100万円
- 中級エンジニア:80~120万円
- 上級エンジニア:100~160万円
また、アプリ開発にはエンジニア以外にプログラマも携わります。なお、プログラマ1人月あたりの費用相場は50~100万円とされています。
アプリ開発の見積もりは上記の人月単価を用いて「人月×人数×開発期間」で算出します。
例えば、1人月単価が150万円のエンジニアが1人と、1人月単価が75万円のプログラマが2人で、開発期間2ヶ月のアプリ開発プロジェクトを進めるとします。この場合、エンジニア&プログラマの1人月単価300万円が2ヶ月間発生するので、合計で600万円がアプリ開発に必要な費用見積もりとなります。
このようにアプリ開発費用に人件費が与えるインパクトは非常に大きいことがわかります。開発期間が長くなればなるほど、人件費の支出は増加します。そして先述したとおり、アプリ開発費用は外注先の規模や形態で費用が変動します。そのため1人月が安いフリーランスエンジニアに長期間の開発プロジェクトを委託するよりも、大手開発会社に短期間で開発を委託した方が、開発費用を圧縮できる可能性もあるのです。
外注先企業ごとに費用はどのように異なる?
アプリ開発の見積もりを外注先に依頼したとき、外注先企業ごとに見積もり額が異なる場合があります。これは、外注先企業ごとにスキルレベルが違ったり、想定している機能の粒度が違ったりするためです。その他にも、アプリは完成後も定期的な保守・運用が必要で、不具合の修正やOSのバージョンアップに対応する費用があらかじめ含まれている場合などもあるでしょう。
このように、外注先企業ごとに機能実装に必要とする技術力(人件費)と開発期間が異なり、見積もり内容も変わります。大手開発会社もフリーランスも委託されたアプリ開発に必要な作業量で見積もり金額を算出するため、「大手開発会社だから高い」「フリーランスだから安い」とは一概に言えないのです。
外注先企業はどのように決定すべき?費用以外も要チェック

外注先を決定する際には費用面だけではなく、以下のような項目も確認して外注先を比較・検討する必要があります。
開発実績
外注先企業を決める際のポイントが開発実績です。開発実績は外注先企業のホームページや資料から確認します。先にお話したとおり、アプリ開発会社は特定領域に特化している場合も多く、依頼するアプリと似たジャンルの開発実績があれば、発注側のニーズをよく汲み取ってくれるでしょう。
さらに、アプリは開発後の運用サポートが成功を左右する重要なポイントになるため、外注先を選ぶ際には十分なアプリ運用サポートを受けられるかどうかも外注先選定の基準になります。
また、既に同じ業種・業態のデザインやインターフェースのアプリを開発している企業を選ぶ利点は大きく、過去に開発したアプリのシステムを参考にするため、アプリ開発が失敗するリスクが低くなるはずです。
対応できる作業範囲
アプリ開発を外注する際には、外注先企業が対応可能な作業範囲をあらかじめ確認しておくことがポイントです。例えばアプリをリリースするためにはプラットフォームへの申請・審査が必要になりますが、外注先の制作会社によっては作業範囲にリリース作業が含まれていない場合もあります。
また、リリース後の微修正などを対応してくれる場合、してくれない場合なども、依頼先によって様々です。もしリリース後のフォローがない場合には、自社で修正する必要が出てくるため、あらかじめ作業範囲を明確にして、よく確認しておきましょう。
複数の企業に見積り依頼を送る
外注制作を依頼する際には、アプリに必要な機能と開発要件を取りまとめて、複数の企業の見積もり依頼を比較・検討することが重要です。大手企業からフリーランスまでアプリの外注先は数多くあり、費用面や関係者の紹介といった理由だけで外注先を決定するのはおすすめできません。
また、大手企業では人月単価が高く見積もり費用が高額になる傾向がありますが、高い生産性が開発期間を圧縮して他社の見積もりよりも安価になることもあります。そのため、大手企業から中小企業やフリーランスまで、複数の見積もりで外注先を比較・検討し、最適な委託先となるアプリ開発会社を選ぶことが重要です。
まとめ
今回はアプリの開発費用をテーマに、外注先によって費用が異なる理由やおおよその相場についてご紹介しました。
アプリ開発を外注する方法は自社内に開発体制を構築できない場合における一般的な手段です。今回ご紹介したように、アプリの種類や実装する機能によって開発にかかる費用は異なります。近年普及しているクラウドソーシングを利用して、フリーランスなどに頼めば開発費用を安価に抑えることも可能です。
しかし、もし社内に運用人材を確保できないようであれば、継続的な運用サポートができるような企業に頼むのがベターでしょう。アプリ開発を外注する際は、開発と運用の両面を考慮し、コストパフォーマンスの高い外注先に委託することが重要です。